忘れられない出来事

傷つきました!

もともと女性にしては毛深い方で、物心ついた頃からそれが悩みの種でした。腕や脚に生えているムダ毛が気になり始めたのは、小学校の高学年の頃でした。

でも幸いなことに中学受験を控えていたこともあって当時は勉強に忙しく、ムダ毛について悩む時間はそれほどありませんでした。ほぼ毎日、学校が終わると一旦帰宅し、カバンを持ち替えてそのまま塾に向かいました。ターミナル駅にある、大手の中学受験予備校です。1クラスに50人近くが押し込まれ、先生がマイクを使って講義するようなスタイルでした。

ある日のこと、いつものように塾で勉強をしていた時、ふと隣の席に座っていた男の子の視線が自分の手元に注がれていることに気がつきました。横長の細いテーブルに4人の生徒が並んで座るようになっていたため、生徒間の距離はわりと近かったと思います。

最初は、新しいシャープペンシルを見ているのかな? と思ったのですが、どうやらそうではなさそうです。一体何なのだろう、と不思議に思っていた時、その男の子が彼自身の指をしげしげと見て、ムダ毛の有無を確認しているではありませんか。

反射的に自分の指に目を落とすと、生えています、生えています、黒々とした長いムダ毛が。その男の子は自分の指と、私の指を何度も見比べていました。

あろうことか、女子である私の方がはるかに毛深かったのです。面と向かって「指に毛が生えてるよ」と指摘されるよりも傷つきました。

その晩、ハサミで指のムダ毛を根元から切りました。左手にハサミを持って、右手のムダ毛を切るのが大変だったことを今でも昨日のことのように覚えています。